「真に社会に必要とされる」とは?

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東海若手起業塾は、東海地域で「真に社会に必要とされる」若手起業家を育むプロジェクトです。この、「真に社会に必要とされる」とは、どのような意味なのでしょうか。

例えば、砂漠の真ん中に、喉が渇いた人(Aさんとする)がいるシーンを想像してください。

このAさんの困りごとを解決する仕組みをあなたがつくるとしたら、どんな方法があるでしょうか? いくつか考えられますよね。

例えば、いちばん単純なもののひとつは、下記のような方法です。

①:砂漠の真ん中で、ボトル入りの水を、売る

喉が渇いているのだから、水を売りましょう、ということです。これはこれでニーズがあるでしょうし、少なくともAさんには必要とされるはずです。

また、この解決策を少し大規模にすると、こんな方法もあります。

②:砂漠の真ん中まで、水道を引いて、水を売る

ボトル入りの水をわざわざ持ってきて売るよりも、単価は安く、簡便に売ることができます。設備投資には時間も資金もかかりそうですが、長期的に見た場合は、Aさんだけでなくより多くの人たちにサービスを届けられます。

一方で、こんな方法もあります。

③:Aさんの出発地点で、ボトル入りの水を売る

喉が渇いている理由を「持っている水の量が少なかったから」と仮定した場合、もともとの出発地点でAさんにより多くの水を持たせる方法があります。

でも、Aさんが運ぶことのできる水の量には限界がありそうです。下記の方法もいいかもしれません。

④:Aさんの出発地点で、樽に入った水を担いだラクダを売る

さらに、もう少し方向性を変えると、このテーマは「Aさんの旅のリスクを減らす」とも捉えられます。そうすると、ちょっと発想の幅が広がりますね。

⑤:Aさんの出発地点で、ラクダのレンタルをする

ラクダは人を乗せても約14km/hで砂漠を歩けるらしいので、人間の歩く速さの倍以上です。Aさんの旅も半分以下の時間で完了するので、必要な水の量も半分以下になるはずです。タクシーのような移動支援でもいいですね。

⑥:出発地点でAさんに「砂漠相互サポート」に加入してもらう(有償)。その代金で、水の入った樽を担いだラクダに、定期的に砂漠をパトロールしてもらう。サービス加入者は、喉が渇いたらラクダを呼び、水が飲める仕組み。

この案だと、「水を持って歩く」という負担から解放されます。ラクダにパトロールしてもらえるので、治安も良くなりそうです。

⑦:他の旅人に水を分け与えた旅人を表彰する「名誉旅人」制度をつくる。名誉旅人になると、何らかのメリットがもたらされる仕組み。

旅人がある程度多ければ、この案もよいかもしれません。旅人の意識啓発やマナーの向上にもつながりそうです。メリットを魅力的なものにできるかどうかが重要ですね。非経済的なメリットで済ますことができれば、合計コストも⑥よりは低く抑えられそうです。

⑧:①〜⑦について、砂漠を安全に移動する人が増えることで経済的なメリットが得られる主体(たとえば、近隣の町の商人組合)から資金や水、ラクダを一部拠出してもらい、旅人の費用負担を軽減もしくは無しにする。

こうすれば、旅人は低いコストで安全に旅をすることができます。評判もよくなり、旅人の数も増えそうです。商人組合の収入も長期的に見たら増えるかもしれません。

⑨:そもそもAさんはなぜ砂漠を移動していたんだろう? 砂漠を移動しなくても、用途を満たすサービスが実現可能かどうかを検討する。

手紙を渡したいのか、物を届けたいのか、人に会いたいのか、行きたい場所があるのか…。Aさんの動機はここではわかりませんが、砂漠を移動することは多くの場合、ただの手段であるはずなので、Aさんの動機をしっかり分析すれば、よりよい解決策を編み出すことができそうです。

他にも、いろいろな方法がありそうですね。

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事業や活動は、本来は、特定の課題(理想と現実のギャップ)を解決し、目的を達成するための「手段」であるはずです。ところが、事業や活動に打ち込んでいると、いつのまにかその「手段」そのものにのみ、意識が向いている状態に陥ってしまいます。(この状態を、プロダクトアウト型の思考とよびます)

上記の例を引くと、Aさんの表面的な課題は「喉が渇いている」ということなので、ついつい「水をどう提供するか」ということ(手段)を考えてしまいがちですが、本質的な課題はどこにあるのかを知ることができれば(⑨)、よりよい解決策が生まれそうです。

本質的な課題を知り、よりよい解決策を生み出して、社会をより良く変えていくことのできる起業家が、一人でも増えてほしいと思います。

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単なる起業家が「真に社会に必要とされる」起業家になるためには、自身の現場だけでなく、ニーズの本質を知り、社会全体を俯瞰する視座を持ち、自身の本質や本来の事業の目的を見極めて、それを達成するための戦略を立てる時期が必要です。

東海若手起業塾の塾生は、支援期間中に自身の「迷い」を整理したり、ニーズの「本質」や「新しいアプローチ」を発見したり、具体的な「実施検証」をしたり、人的リソースの「ネットワーク」を作ることで、「真に社会に必要とされる」起業家へ、進化していくことができます。

ちょっとやってみて、壁にぶち当たった頃や、もっと自分は進化できるんじゃないかと思っている頃に、ぜひ参加してください。

現在、募集説明会・個別相談会の申し込みを受付中です。ご参加、お待ちしています!
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(東海若手起業塾事務局長 小池)