インパクトは自分中心で出さない。社会起業家としてのあり方|三重募集説明会レポ

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5月21日に、みえ県民交流センターにて東海若手起業塾説明会を開催しました。

 

三重会場では、市民活動団体の代表やライターの方などに参加していただき、津市の方だけでなく伊勢市や四日市市からもお越しいただきました!
三重会場でのゲストは、8期OBの生川真悟さん。児童虐待を防止するためのツール作りや、アートプログラムによる親子関係の向上と虐待予防の推進、また企業と連携してワークショップの開発や実施をしています。

 

今回は生川さんが「自分の社会に対する違和感の根源に気づいた」という東海若手起業塾でのエピソードや、様々な事業者と連携して展開している事業についてお話いただきました!
生川さんが東海若手起業塾にエントリーしたのは、25歳の時。しかしエントリーした当時は、はっきりとビジョンが見えていたわけではなかったと言います。

 

「その時は何やりたいの?と言われても『社会ムカつくんですよね』くらいしかありませんでした。東海若手起業塾のエントリーシートはいくために無理やり書いたようなもので、何かが窮屈で嫌だった、くらいの感情しかなかったんです。
そこに紐付けされていたのは、自殺って嫌だな、自殺というのはすごく社会的な損失だよねというようなものでした。」

 

君何やりたいの?ってずっと聞かれて分からなくなって、なんでこんなに自分は社会に腹が立っているのか?と考えたら、自分の幼少期にコンプレックスがあったことに気づいたんです。そこから自殺のことを調べてたら、自己肯定感の低さにかなり起因していることや、幼少期の豊かさが大事なことが分かって来ました。」
自分の怒りの根源に気づいた生川さんは、虐待に着目して予防策を調べ始めますが、虐待にはそもそも予防するという概念がなく難しかったと言います。

 

「どうやってお金を稼いでいくか?というよりも、社会課題に向き合うミサイルがどうやってできるか?という感じで詰めていきました。

最後の報告会では仮想事業のような感じで発表したんですが、自分で事業をするイメージができていませんでした。

どうしたら良いの?って思っていた時に、メンターの石川治江さんと共同で事業をすることになり、事業者の人たちと一緒に事業をしていく形に変化しました」

現在では様々なセクターの人たちと連携して虐待を防ぐための事業を行なっており、子育てを始めた親さんに子育て支援機関を認知してもらう資料制作や、子供たちが健やかに育つためのワークショップを行なっています。

 

「言語がまだ成熟していない子どもたちに絵を描いてもらうワークショップをずっとやっています。大人が良いと思う絵を描くのではなく、自分が子どもの頃にこういうことを親に言って欲しかったなという視点でやっています。

この価値をどうやって分かってもらうのかという話にもなりますが、経験値としてこれが良いというのは分かっているんです。絵を描くのが嫌いで絶対に描かなかった子どもが、僕と話したら急にお絵描きを始めた、ということもありました。
親さんは体験がないと価値が分かりませんが、子どもが喜んでいたり変化が起こったりしたら、良かったとしか言いようがないんですよね。
なので、この体験をしてもらうフィールドにどう連れていくのか?どれだけケースを持っていて、どれだけ言葉を信じてもらえるか?が大切だと思います。」

 

最後に、社会起業家としてのスタンスについてメッセージをいただきました。

「これは誰の役に立つの?とも言われましたが、虐待をなんとかしたいから、早くいい答え探そうぜ!というスタンスだったのでずっと楽しかったです。

むしろ自分が主でやるという概念はソーシャルに必要ないと思います。インパクト出すぞ!という意気込みは大事だけど、それではプールに石が投げられて水が跳ねるくらいの効果しかありません。

水を抜こうと思ったら、今持っているものを捨てるのが怖いとかは気にせずに、今持っている空きの時間でどこまでやれるのか?を考えることが大事だと思います」

 

東海若手起業塾では、11期の個別相談会を6月8日まで開催しています。個別相談会はオンラインで行うため、遠方に住んでいらっしゃる方の参加も歓迎です!詳細はこちらからご覧ください。