東海若手起業塾OBOGインタビュー Vol.5 生川真悟さん(Lichenes(ライキニス))

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ブラザー工業の100周年事業として2008年にスタートした「東海若手起業塾」は、地域や社会から必要とされる若手起業家の育成を掲げて、2016年3月までに8期38名(35組)の起業家への支援を実施し、現在は第9期生の支援に取り組んでいます。

今回は、虐待予防に関する取り組みを実施する絵本作家、Lichenes(ライキニス)の生川真悟さん(8期OB)にインタビューを実施しました。エントリー当時は構想段階だった事業が、起業塾での支援期間を経て実際に形になりつつあります。どんな学びや経験があったのか、じっくり聞いてみました。


●起業塾にエントリーしたきっかけを教えてください。


生川)実行委員団体のNPO法人アスクネットでアルバイトをしていた関係で、声をかけてもらったのが直接的なきっかけです。それまでは、「自殺」や「生きづらさ」を減らしたいという想いから、絵本を使ったワークショップをしていました。起業塾で「こうなりたい」という明確な目標はあんまりなく、「社会を変える」というフレーズに反応して、社会への怒りと憤りを原動力にして応募しました。当時はほとんど「事業」ではなかったのですが、募集説明会で7期OBの首藤さんの話を聞いて、「缶詰がいけるんだったら自分もいける!(笑)」と思ったこともあるかな。

●起業塾ではどんな取り組みをしましたか?


生川)自分自身に何ができるのか、また社会のどんな人が協力してくれるのか、徹底的にリソース発掘のための取り組みをしました。起業塾の期間中に名刺交換したのは、大体600人くらい。例えば自分が実施しているワークショップの科学的根拠を得るために、大学にアプローチしました。3つの大学に声かけて、そのうち三重県看護大学と連携することができ、のべ400人からサンプルを得て、科学的な成果を得ました。

●東海若手起業塾にエントリーしたことで、ご自身の意識や行動はどのように変化しましたか?


生川)ブラッシュアップ研修で、ブラザー工業のプロボノの方にものすごく本質的な問いを突きつけられて、そこから「共感してもらうためには」とか「問題を実感させるためには」ということを考えるようになりました。東海若手起業塾は「起業家を育てる生態系」と言っているけど、それは「いろいろな種類の人がいる」ということ。誰にどんな情報が刺さるかわからないので、伝えるためのいろいろな手段や方法が必要ということに気づき、その方法が身についたかな。絵本作家なので、この部分が一番大きかったです。


事業面でも、どうやって事業を進めていけばいいかわからない状態だったのが、今はわかるようになったかな。自分の苦手分野にも気づいたので、逆にそれが得意な人とどうやって組むかを考えるようになりました。

●現在はどのような取り組みをされていますか?


生川)起業塾の期間中に考案した、妊婦に対して母子手帳といっしょに絵本を配布する取り組みが、もうすぐ実現します。最初数ページのイラストで、子どもと親の豊かな関わりを想起させる。後半のページには、子どもと親の交流を促す仕組みや、地域の支えてくれる場所のリストがあり、子どもと親が良い形でコミュニケーションを取ることを応援する一冊です。起業塾でメンターだったNPO法人ケア・センターやわらぎの石川治江さんが主体の取り組みなので、自分は得意な絵を描くことに集中できているのも助かっていますね。

こちらの絵本は4月頃に発表予定。完成が楽しみですね!

(東海若手起業塾実行委員会事務局 小池)