
3月1日に、東海若手起業塾17期の最終報告会をブラザーミュージアムにて開催しました!
起業家たちは9月のキックオフを皮切りに約半年間、コーディネーターやプロボノとチームを組み、地域や社会が抱える課題の本質に対して、当事者目線で事業の構想を組み立て、アクションしてきました。そして、メンター陣から投げかけられる様々な角度からの問い、それから自分たち自身と真剣に向き合ってきました。
最終報告会では、起業家からこの半年間でのアクションやそれによって生まれた気づきから、今後の事業展開や目指すビジョンについて、プレゼンを行う場です。
そして発表の後は半年間を振り返って、チームメンバーからは起業家への応援メッセージを、それからメンター陣からはそれぞれの起業家に対して激励のメッセージが寄せられます。
▶講評いただいたブラザー工業株式会社、17期メンターのみなさま
ブラザー工業株式会社CSR & コミュニケーション部 マスター 出原 遠宏 様
株式会社PEER 代表取締役 /一般社団法人東海若手起業塾実行委員会 理事 佐藤 真琴 様
一般社団法人 龍馬の靴 代表理事 /一般社団法人 健康診断管理協会 代表理事 高橋 綾太 様
一般社団法人リズカーレ 代表理事 /一般社団法人東海若手起業塾実行委員会 理事 安形真 様

トップバッターは、発達特性のある子どもたちがどこでも安心して学べる環境をつくることを目標に掲げる
星空Kids English&Japanese 代表 浅野順子さん。
浅野さんは、入塾してから一貫して自身の子育て経験から「発達特性のある子どもたちとその親が安心して暮らせる社会」を模索していました。半年間の中で、発達特性のある子どもの子育てを自分ごとにとどめるのではなく、顧客を徹底的に理解のするために、”社会課題として目を向ける”という気づきを得ました。そして、ポジショニングマップなどで整理をしながら、施設や発達特性のある子どもを育てる親などステークホルダーへのインタビューを行いました。さらに課題を解決するための事業を構想する中で、大学、金融機関などと連携を進めています。最終報告では、これからの事業を
① 発達特性のある子供が安心して学び・体験できる環境を示す認証システム「発達特性フレンドリーマーク」の普及活動
② 自身の経験を生かした「リズム英語」を大学との共同研究を通して療育施設で導入していくこと
の2つに絞って、3年後までの目標を宣言しました。

半年間伴走したチームメンバーからは、
「当事者にアクセスしていくことが重要で、事業として大変な部分。今後浅野さん一人ではなく、星空Kidsとして頑張っていってほしい」
「半年間、浅野さんの当事者意識と課題に対する高い解像度をそばで見てきた。だからこそ様々な手段も出て混乱してしまったこともあったと思う。浅野さんの熱意を見てきたので今後も頑張ってほしい」
そして、メンター陣からは、
「浅野さんの現場を見させていただく中で、本当の浅野さんを探していた。半年間で浅野さんが共感を得られるための起業家のマインドができたと思う。今日からスタートなので、浅野さんと同じ課題を抱える親子のために活動していってほしい」
「浅野さんは、ずっと子どもや親に対して安心して学べる環境を作りたいという寄せる期待や信頼がぶれなかった。これから事業の価値を高め、名古屋だけではなく日本のためになる!という気持ちで活動していってほしい。」
という浅野さんの意志を後押しするフィードバックが寄せられました。

2人目は、伊豆山をエリアに高齢者の孤立孤独問題に取り組む
Enknock 代表 長谷部聖実さん
社会福祉士としての勤務経験で得た原体験から介護現場での限界を感じ起業した長谷部さんは、入塾当初、このまちに住みたいときめて伊豆山というエリアを選んだ状態で、実質的にフィールドを持っていない状態からのスタートでした。顧客の解像度が低いというメンターからのフィードバックを受け、まちあるきやインタビューを通して、伊豆山という地域とそこに住む地域の方々を徹底的に理解することに時間をかけてきました。社会課題解決とこの事業によって収益を立てていくという2軸の難しさに直面しながら事業の構想を進めてきました。「望まない孤立孤独をなくす地域社会の実現」をまちづくりのビジョンとして掲げ、地域を理解したのち、社会参加の機会とネットワークづくりに事業の焦点を絞ることを決めました。まずは地域巡回型のまちの居場所づくりと、介護保険事業による通所型の居場所づくりの計画を発表しました。

チームメンバーからは、
「半年間は長谷部さんの内なる情熱を探し続けてきた期間だったと思う。ここを皮切りにもっと情熱を出して仲間を見つけて進んでいってほしい。」
「長谷部さんと一緒に走る中で、1時間、1時間ごとにガラッとアクションが変わっていく起業家のスピード感を目の当たりして学ばせてもらった。」
メンター陣からは
「最終選考会の時に答えられなかった「何屋さんですか?」という問いに対して、伊豆山の高齢者の孤独孤立を解消することを通して“まちの情報屋”になるという意思が固まっていてよかった。」
「東海若手のコミュニティを最大活用して、資金調達、仲間づくりなど進めてほしい。」
「情報屋になるというなら、長谷部さんが一生懸命成り立たせて発信していく覚悟を持って行動していってほしい。」
と明日からのアクションを期待するメッセージが寄せられました。

最後の3人目は、
カムカムスワロー代表/医療法人社団登豊会近石病院理事 近石壮登さん。
起業家パートナーの蛭牟田さんとともに、報告していただきました。
近石さんは、近石病院が経営するカフェ&コミュニティスペース“カムカムスワロー”という場で「食べる楽しみを分かち合い、誰もが豊かに生きられる社会」を目指しています。特に、嚥下障害で食べたいものが食べられず、外出する機会がなくなってしまった方に着目しました。当初は「誰もが食べるをあきらめない」という願いに対してどのようなアプローチで、なにから変えていけばいいのか模索する期間が続いていました。そんな中戦略会議で、メンターのご家族が実際にカムカムスワローに来店することが決まりました。非日常を体験するという経験を通して、ただ嚥下食の提供で終わるのではなく、失ったものを取り戻すキセキ(奇跡・軌跡)のレストランである「カムスワダイニング」という事業を組み立てました。

チームメンバーからは、
「最初はあれもこれもやりたいと“ごちゃまぜ”をキーワードにやって定めることが難しかったが、カムスワダイニングを通した親子の時間という軸が決まったのでアクションがもっと起こせそうで楽しみ。」
「近石さんの事業は1万円どころか、10万円、20万円の価値を届けている存在だと自負している。自身を過小評価せず、もっと価値を爆発させていってほしい。」
メンター陣からは
「何よりも親子の非日常の時間を提供することに対して真心がこもっていることが素晴らしい。今後の展開を考えた時にその強みもなくさないようにしてほしい。」
「半年間で、カフェの軸は定まったので、次は収益黒字にむけて今日から早速スタートしてほしい。」
「カムカムスワローに家族と来店した経験から、自分も父自身も関係性が変わってきた。あの経験から父から電話がかかってくることが増え、カムカムスワローが提供したあの時間は一瞬ではなく続くものなのだと伝えたい。」
とカムスワダイニングの価値の高さを今後を期待するメッセージが寄せられました。

そして最後に全体に向けてメンターの3名から激励のメッセージが送られます。
「どの起業家にも言えることだが、“協働する“というところにもう一歩踏み込んでやってもらいたい。社会事業は借り物競争だと言う例えがあるように、周りに力を借りて自分も困っている方に手を差し伸べてあげてほしい。」
「半年間頭を使ったその分、まずは動いて働いてください。社会起業家に必要なのはロジックではなく実践研究者であること。壁を突き破って仲間と協働してとにかく動いてください。」
「今日はゴールではなくスタート。半年間で創り上げた事業の土台を活かして共感、共創を生み出していってください。」
起業家の半年間を見守った上での最後まで愛のあるメンター陣のフィードバックでした。
その後は「17期のこれからと東海若手起業塾」というテーマで東海若手起業塾理事の北村と17期起業家3名によるトークセッションの時間が設けられました。

最終報告では、今後のアクションに着目して発表していただきましたが、この時間はプレゼンで語り切れなかったことや、半年間の学び、これからの展望についてなど語っていただきました。
トークセッションの中では、「壁を突き破れた瞬間」というキーワードが北村さんから投げかけられました。また、東海若手起業塾OGOBでもあるメンターや(一社)東海若手起業塾実行委員会の代表理事から「卒塾後の経験を経ての今」を語っていただきました。
トークセッションを含めた、当日のライブ配信の模様は近日YouTubeにてアーカイブを公開予定ですのでお待ちください!
さて、午後からは、社会を変える起業家として、明日以降どのように事業を進めていくかブラッシュアップをする17期最後の戦略会議が行われました。

それぞれメンター陣との壁打ちを行い、ビジョンを達成するための次の一手を深めていきました。
いつも以上に活気を増した雰囲気が、明日以降の起業家のアクションにつながっていきそうな感じがしました。さらに自身の事業を深め、次に何をすればよいのかが明確になったのではないでしょうか。
そして最後には、起業家チームだけでなく、メンター、サポーターを含めた全員で輪になって座り、一人ずつ17期の振り返りと今後の宣言をします。

報告会の開催をもって支援期間は終了しましたが、17期起業家にとってはここからが本当のスタートです。東海地方や社会を変えていくために、東海若手起業塾17年で培ったコミュニティから起業家同士がさらにつながり、アクションが積み重なっていくことでしょう。
今後の17期の起業家の活動は、随時東海若手起業塾のホームページやSNSで紹介していきますので、ご期待ください!
また春から来年度18期生の募集が始まります。東海地方でご自身のチャレンジを加速させたい方、ぜひエントリーをお待ちしております!