【イベントレポート】最終報告会を開催しました!

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3月7日(土)、東海若手起業塾18期の最終報告会をブラザーミュージアムにて開催しました。

昨年9月から半年間のプログラムを走り抜けた4名の起業家。不登校支援、有機農業コミュニティ、高齢者の社会参加、乳幼児の睡眠支援と、それぞれ異なる領域で地域や社会の課題に向き合ってきました。

東海若手起業塾では、起業家がコーディネーターやプロボノとチームを組み、現場での検証を重ねながら事業を磨いていきます。メンターから投げかけられる問いに向き合いながら、自身の原体験や社会課題と改めて向き合う半年間でもあります。

最終報告会では、そのプロセスの集大成として、起業家が半年間のアクションや気づき、そしてこれから実現したい社会についてプレゼンテーションを行います。



当日は、ブラザー工業株式会社コーポレートコミュニケーション部チームマネージャーの伝宝敏晃様をはじめ、18期メンター陣から講評をいただきました。


「学校に行かなくてもいい」のその先をつくる

一般社団法人まなびのとびら岐阜羽島きょういくラボ 代表 木下慎一朗さん



トップバッターは、不登校の子どもと保護者を支える仕組みづくりに取り組む木下慎一朗さんです。

木下さんが目指すのは、「学校に行かなくてもいい」と言われたその先に、子どもが安心して学び続けられる社会を岐阜で実現すること。そのために半年間、子どもや保護者へのヒアリングを重ね、顧客の視点から現状を徹底的に見つめ直してきました。

その中で見えてきたのは、不登校の初期段階で保護者が強い混乱と孤立を抱えているという現実です。木下さんはこの期間を「地獄の半年」と表現しました。

そこで立ち上げたのが、不登校の保護者向け相談事業「ぽらりす」です。教育制度や地域の支援機関に関するネットワークと、相談のハードルの低さを強みに、保護者が適切な支援につながるための窓口として機能しています。

今後は従来の「フリースクール」という枠組みにとらわれず、地域の活動やコミュニティとつながる学びの場づくりにも挑戦していくことを宣言しました。


メンターからは「本当に困っている人の声を聞き、そこからサービスをつくってきた半年間だった。『地獄の半年』という言葉を社会に伝えていってほしい」といったメッセージが送られました。



有機農業から新しいコミュニティをつくる

山の高橋農園 生産・営業 髙橋かのさん



2人目は、静岡県伊豆の国市で有機農業を営む山の高橋農園の髙橋かのさんです。

2031年に農園の4代目を継ぐことを目標に掲げる髙橋さんは、農業を通して人と自然、人と人をつなぐ新しいコミュニティづくりに挑戦しています。

社会や市場の変化によって、かつて農業の現場にあった「顔の見える関係性」は徐々に失われつつあります。髙橋さんは、その関係性を現代の形で再構築し、農園に関わる人の精神的・社会的な安心感を生み出すことこそが、有機農家の新しい役割ではないかと考えています。

その第一歩としてスタートしたのが、会員制コミュニティ「さなぎクラブ」です。農園ツアーや農業体験、季節の贈り物などを通じて、農のある暮らしを身近に感じられる場を提供しています。

さらに「カブ主制度」という構想も発表。お金だけでなく、知識や道具、つながりなど、さまざまな形で農園に関わることができる仕組みをつくり、有機農園を中心とした新しい参加の形を広げていきます。


メンターからは「半年間、プロボノやコーディネーターと検討を重ねる中で、高橋さんの思考が大きく変化していることが伝わってきた。それが事業の成長にもつながっていた」といったコメントが寄せられました。



高齢者が社会の担い手になる仕組みをつくる

NPO法人ひだまり創 理事長 古澤由加里さん



3人目は、岐阜市で介護や地域づくりに取り組む特定非営利活動法人ひだまり創の古澤由加里さんです。

ひだまり創では、介護保険事業に加え、高齢者が社会の中で役割を持ち続けられる仕組みづくりに取り組んでいます。

その一つが「チームおーばー80」という取り組みです。フレイルから要介護4までの高齢者が、得意なことや身体の状態に応じて、ぬいぐるみや雑巾などの作品を制作し、地域のニーズと結びつける活動です。

さらに、廃棄繊維を活用したアップサイクルブランド「iquilto(イキルト)」も立ち上げました。元縫製職人の高齢者がスラッシュキルトという技法を用いて製品を制作しています。この活動に参加した高齢者の7割以上に、意欲や集中力の向上といった変化が見られています。

古澤さんは今後、地域の仕事と高齢者をつなぐ人材育成やノウハウのマニュアル化を進め、約10年をかけて全国へ展開していくことを宣言しました。


メンターからは「『社会を本気で変えられると思えた』という言葉が聞けてうれしい。行政や国も巻き込みながら社会を変えていってほしい」とエールが送られました。



親子の睡眠課題に向き合う「ねんね外来」

ねんねブーケ代表 三橋かなさん



最後は、乳幼児の睡眠課題に取り組む三橋かなさんです。

三橋さんは、自身の子育てで寝かしつけに悩んだ経験をきっかけに、親子の睡眠専門家として相談事業や記事執筆を行ってきました。

日本では乳幼児の睡眠に関する専門的支援がまだ少なく、医療機関でも十分なサポートを受けられないケースがあります。そこで三橋さんは、睡眠に悩む家庭を支える仕組みとして「ねんね外来」の展開を進めています。

すでに東京都・静岡県・岡山県のクリニックで導入が決定しており、2年後までに各都道府県に1拠点、5年後には100拠点へ広げることを目指しています。


メンターからは「今後の課題は共に事業を進める仲間を見つけること。周囲を巻き込みながら社会を変えていってほしい」とエールが送られました。



報告会の後半には、16期・17期の卒塾生によるプレゼンテーションも行われました。



NPO法人プライズアウト代表理事の樋口明日美さんは、2022年に子どもたちが主体的に学び成長できる教育の場として陸上クラブを設立し、翌年に16期起業家として東海若手起業塾の支援プログラムに参加しました。

クラブでは技術向上だけでなく、「問いを立て、仲間と協働する力」や「自信」を育む教育プログラムを展開しています。保護者アンケートでは「年齢や性別を越えてコミュニケーションを取る力が育った」といった変化も報告されています。

また、塾生当時の最終報告会で掲げた「拠点拡大・コーチ体制の強化・会員数の増加」という数値目標について、この2年間でそのすべてを達成したことを報告しました。

「課題に挑み続けられる人を育てることで社会の発展に寄与する」というミッションのもと、教育とスポーツを掛け合わせた取り組みをさらに広げていくことを宣言しました。





続いて、17期起業家の星空Kids English & Japanese代表 浅野順子さんが登壇しました。



浅野さんは子ども英語講師として10年以上、500名以上の親子と向き合ってきた経験と、自身の子育て経験をもとに「星空キッズ」を立ち上げました。発達特性のある子どもも安心して習い事や体験に参加できる環境づくりに取り組んでいます。

その中で、発達障害への理解や配慮に取り組む教室を可視化する「フレンドリーマーク」事業を展開。東海若手起業塾の支援期間から1年で、連携校は愛知県や奈良県の習い事教室7校へと広がりました。現在は認定校ネットワークの形成や指導者向け研修を進めています。

2027年までに認定校をさらに拡大し、子どもたちが個性や特性に関わらず学びや体験にアクセスできる環境づくりを進めていくことを宣言しました。


このように、2名から卒塾後も事業を広げながら社会課題に向き合い続けている姿が報告されました。


「東海若手起業塾では“顧客視点”ではなく“顧客起点”という言葉を大切にしている。顧客以上に顧客になりきること。今日からまた事業構想を練り、挑戦を続けていってほしい。」

最後にメンターから、起業家たちへメッセージが送られました。




半年間の支援期間は一区切りとなりますが、起業家たちの挑戦はここからが本当のスタートです

東海若手起業塾では、今後の18期起業家の活動もホームページやSNSで随時紹介していきます。ぜひご期待ください。

また春からは、来年度19期生の募集もスタートします。

東海地域で社会課題に挑戦したい方のエントリーをお待ちしています。