SPECIAL INTERVIEW

OB・OGのスペシャルインタビュー

Voice

山元 梢さん

NPO法人外国人就労支援センター

第2期生

活動地域:愛知県豊橋市

「〜のために」から「〜とともに」へ。 考え方のシフトが事業を大きく育てました。

最初の目的は、
外国人の就労支援を軌道に乗せることでした。

エントリー当時は外国人の就労支援を目的としたNPO法人を運営し、外国人青少年を対象にインターナショナルジョブトレーニングを行っていました。外国人青少年は教育の保証がなく、地域に置き去りにされている子どもたちが多く、地域社会との接点や学歴が乏しいことで就労が難しかったり、職種が限られています。

そんな状況で将来の目標や夢が持てなくなっている外国人青少年をサポートするために活動していましたが、思い描くような就労には繋がらず…。そんな状況を打破し、どのような立場の青少年でも、人生設計を描くことができ、働くことのできる地域社会をめざして、エントリーしました。

収益まで厳しく追求され、
ビジネスノウハウを一から学び直しました。

当時は豊橋の団地の一室に事務所がありましたが、入塾すると間もなく事務所にメンターやスタッフの方々が訪れてきて、「先行事例は調べたか」「収益はどのくらいあるのか」など、洗いざらい尋ねられました。それまで綿密な計画性もなく事業を進めていたこともあって、非常に驚きましたね。国からの補助金を得ていたものの使い方もわからなかったのですが、メンターに「それは準備金だから、それを元手に3年以内に何とか事業を軌道にのせるべき」と指摘されて、人と資金とビジネスの深い関わりについて改めて考えさせられました。社会問題は時代の移り変わりによって課題が変化します。起業塾でそのことに気付かされ、私たちが本当に求めていることは、人種や国籍を問わず、あらゆる人たちが働ける社会づくりではないかと考え、目的をシフトしました。それが、現在の「いるかビレッジ」のスタートになりました。エコビレッジを実現させるために、多世代シェアハウスをデザインした建築家がプランニングに参加するなど、さまざまな繋がりを作ってくれて動き出しました。

課題を解決しようと躍起になっていた私たち。
真の狙いは「人が喜ぶ仕組み」を作ることだった。

メンターから、「外国人に特化しすぎて、外国人の価値を下げている」と言われたのが衝撃的でした。最初はその言葉の意味がまったく理解できませんでした。それまで私たちは、外国人の子どもたちのために「外国人はこんなに苦労しています」「仕事がなくて困っています」と必死にアピールしてきました。それなのに思うような成果には繋がらなかったのです。そんな時、ご高齢で仕事がはかどらずに困っていた農家さんを見かけ、元気な外国人の若者数名に声を掛けて手伝ってもらったところ、仕事はあっという間に終わり、農家さんは非常に喜んでくださいました。「ありがとう、ありがとう」と彼らに謝金を手渡してくれたのです。その姿を見て、私たちはハッとしました。自分たちは、外国人に賃金を払うまでにたくさんの苦労をしてきたのに、彼らの得意なことをそのまま繋いだだけで、すぐにお金になる。「一体、私たちは何をしてきたのだろう」と思い、自分たちが外国人の価値を下げているという言葉に納得しました。それからですね、考え方が大きくシフトして、事業が動きだしたのは。「〜のために」ではなく、「〜とともに」。課題を「解決する」ではなく、「解消させる」。誰にとっても楽しい取り組みに注力すれば、課題は自然に消えています。課題解決に視点を置かず、人が喜ぶ取り組みに視点を置いて、その実現に注力したことで、今では「いるかビレッジ」に関わる5社の株式会社を経営し、職員100名を越える事業に成長しました。私たちの取り組みは全国的にも注目され、海外からの視察もあるほどです。

Message

自分たちの思いにしがみつかないで。 冷静な指摘が視野を広げます。

起業するからには「事業を大きくしたい」「儲けたい」など、事業をどうにかしたいという強い思いがあると思います。しかし、私の経験から言えば、それらの思いを手放したときに、事業の本当の価値が高まるのではないか思っています。起業塾では、冷静で鋭い第3者のアドバイスや指導が私たちをここまで成長させてくれました。その加速度的な成長をぜひ経験し、社会貢献に繋がる事業へと育ててほしいと思います。

山元 梢さんのプロフィール