SPECIAL INTERVIEW

OB・OGのスペシャルインタビュー

Voice

市野 将行さん

株式会社ランダムネス

第5期生

活動地域:愛知県名古屋市

新しい時代をつくる若者たちと共に、
多文化共生のまちづくりを実現させる。

世界の旅人たちと
地元の人たちが出逢える場を作りたい。

10年前、海外を旅してきた僕が名古屋に帰ってきた時に思ったのは、自分が世界で得た知識や経験を地域の中で活かしたいということでした。そこで、グローバルや多様性といった概念を、海外を経験したことがない人でも身近に感じられる場づくりや関係性づくりをビジネスにしようと考えたのです。例えば、地元の人と外国人旅行者が気軽に集えるカフェバーがあり、そこにホステルと旅行会社があれば旅する人も旅立つ人も受け入れられる。さらに語学教室があったら、語学を学んだ人がカフェで外国人を交流して学びを深められる。

そんな夢を実現させるために、「コミュニティ・ユース・バンクmomo」でボランティアスタッフをしながら、起業準備を進めました。東海若手起業塾にエントリーしたのはこの頃です。同時にmomoの融資にも申し込みましたが、ビジネスが具体性に欠けるという理由でどちらも審査を通過することはできませんでした。再び起業塾にエントリーしたのは2年後。起業後、最初の事業としてスタートした英会話教室が軌道に乗り、次の展開として、地域で生活する外国人向けの日本語教室をボランティアからビジネスへと発展させようとしていた時でした。

ビジネス化に取り組んで
経営的視点が大きく広がった。

起業塾にエントリーしたときは、特にビジネスでの課題を抱えていないと思っていました。しかし私にとって、その状況こそが課題でした。英会話教室は順調で毎日が楽しく、仲間と夢を語り合えば、皆が「いいね、いいね」と共感してくれましたが、私が最初に描いた「多文化共生のまちづくり」が実現するには、まだ程遠い状況…。「このままでは自分も事業も成長できず、夢は理想のままで終わってしまう」と気付いた私は、外部からの客観的なアドバイスを求めて、起業塾にエントリーしました。起業塾では、地域に住む外国人に向けた日本語教室のビジネス化に取り組みました。メンターからのアドバイスを受けて、さまざまな先行事例を研究しましたが、ほとんどがビジネスではなく、ボランティアで活動していました。そんな中でも、どうにか事業化しようと奮起しましたが、この事業だけで利益を上げることは難しいことを実感。この経験で自分の経営的視点の甘さを知り、今は事業を全体像として捉え、対価を得て行うビジネスはその中にある「幹」なのだ、と視点を広げられるようになりました。卒塾後は、日本語教室の運営は一旦先送りにし、新しい事業を強く太く育てた後に、日本語教室にも着手していきたいと考えています。

繋がりを作るのが僕の役目。
社会を変えようとするマインドが
モチベーションに。

現在は英会話教室のほかに、バックパッカーズホステルとカフェバーを併設した「グローカル名古屋」が誕生し、描いた夢に近づきつつありますが、まだまだこれからがスタートだと思っています。そんな僕の心には常に「社会に良さそうなことをしたいのか、社会を変えたいのか」という起業塾での言葉があります。起業塾で学ぶ前の僕は、皆に「いいねいいね、楽しそうだね」と言われるのを喜んでいて、完全に前者でした。グローカルに集まる人たちだけに共感してもらっても広がりはありません。多文化共生を意識したことがない人にも伝えられるように、現在は名古屋外国語大学大学院にてグローバル共生について学び、広く知識を伝えられる立場になることを目指しています。場を通じて繋がりを作るのが、僕の役割ではないかと思っています。 僕は東海若手起業塾で取り組んだことをそのまま事業化することはできませんでしたが、結果的に経営者としての考え方が広がり、事業が大きく広がっています。メンターも先輩方もそれぞれ各分野で結果を出してきた人たちばかり。得られるものは多いにあったと思っています。

Message

その学び、 役立つ日が必ず訪れます!

東海若手起業塾で学んでいた時に一番苦しかったのは、「もっと動きたい。もっと学びたい」と思いつつも、現実的には今の事業を日々継続させて、経済的な安定を図らなければならなかったことです。そもそもビジネスに深い関心はなく、夢を実現させたかっただけの私にとって、「お金がなければ、思うように動くこともできない」と実感させてくれたことは、大きな成長のきっかけになりました。起業塾の学びはその時はわからなくても、事業を続けていくうちに必ず「こういうことだったのか」と気付く時が訪れます。学びをしっかりと受け止めてほしいですね。

市野 将行さんのプロフィール