【イベントレポ】パートナーシップの出発点はどこ?効果的なパートナーシップを考える。

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5月31日にイベント「効果的なパートナーシップでの課題解決を考える」を開催しました。 東海若手起業塾14期の募集説明会をかねて開催したこのイベントには、フリーランスの方やボランティア活動などをしている方が参加しました。

 

 

この日のゲストは、東海若手起業塾10期生であり、NPO法人ESUNE 代表理事の天野浩史 さんと、東海若手起業塾9期生であり、株式会社CoAct 代表取締役の渡嘉敷唯之 さん。静岡県で事業展開するお二人から、パートナーシップの始め方から工夫まで、様々なお話を伺いました。

 

まずはお二人から、それぞれの事業と、パートナーシップの事例をお話ししていただきました。

 

渡嘉敷さん:株式会社CoAct では「災害時も福祉事業所が事業を継続できるようにする」ことを目的に事業を展開しています。事業所の防災マニュアル作成や職員研修・訓練の実施、冊子やe learningなどの教材作成と販売などが主な事業です。また、で非営利のボランティアチームで被災した施設の支援もおこなっています。

 

 

パートナーシップという観点でいうと、CoAct では社会福祉法人と地域住民の防災啓発をしたり、損保会社と一緒に防災マニュアルの作成や周知をしたり、教材の作成を出版社やフリーランスの方としたり…と、様々な企業の人と一緒に事業を行っています。災害ボランティアの団体では、法人・個人問わず資金や物資の提供をしていただいたり、福祉専門職の方と被災地支援をおこなったりしています。

 

天野さん:NPO法人ESUNEでは「静岡を変える未来」を作るために、NPOなどのチャレンジや、当事者の一歩を支えていく環境を作るコーディネートをしています。主に人と環境に関することをコーディネートしていて、企業研修や大学教育プログラムの開発、プロジェクトコーディネート、プロジェクトマネジメントなどをしています。

 

 

「パートナーシップ」での取り組みで代表的なものは、お坊さん向けのファシリテーション講座です。1つのお寺とやるのではなく、既に出来上がっていた若手僧侶のネットワークと一緒に企画をしたことで、かなり広がったなという印象があります。

 

では、実際にどのようにパートナーシップを組んで行ったのでしょうか?渡嘉敷さんは、パートナーシップを育む順番をこう整理します。

 

「まず最初は、自分のやりたいことやできることの整理をします。これがないとパートナーシップは成り立ちません。どうしたいのかが明確でないと話が進みません。”具体的に何をするか”は自分と相手の領域が重なっている場所だとすると、そもそも自分が何をしたいかが分からないと、重なりがどこか分かりませんよね。僕は東海若手起業塾で何がやりたいのかをずっと質問されて鍛えられましたね。」

 

 

そしてその次に必要なのが「相手の取り巻く環境、やりたいこと、できることを知る」こと。

 

天野さんは、企業研修の運営を例にこう話します。

 

「僕たちは企業で働いている人がもっとソーシャルやNPOに出会って欲しいと思っていますが、それは企業からするとどうでもいいことなんですよね。相手の文脈やニーズに合わせて企画することが大事だなと思っています。」

 

自分たちのやりたいことを整理し、相手の環境・やりたいことを知った後は、具体的な予算や時期、役割などを含めた提案や相談をしながらプロジェクトを形にしていきます。渡嘉敷さん曰く、コツは余白を持って提案すること。

 

「初めて提案するときは、こんなこと考えているんですよ〜と、ゆるくしていく方が良いです。最初はこれが分からなくて、ゴリゴリ言ってたけど、なかなかうまく行かなかったですが、余白を示すことで、相手がこういうのやりたい!と提案してくれて、一緒にやりやすくなりました。」

 

では、実際にプロジェクトをする上で、大切なことはなんでしょうか?

 

天野さんは「振り返り」だと話します。

 

「僕は、丁寧にパートナーさんと膝を突き合わせた対話や振り返りをしています。企業研修であれば、どんな気づきがあったか、次の研修はどうしたいかなどを話しています。

 

またプロボノの方が多く参加しているプロジェクトコーディネートでは、経験からどんな成長や気づきがあったのか?などを丁寧に振り返っています。僕たちにも気づきがありますし、そこから理想像も作りやすくなります。」

 

 

ここまで「パートナーシップ」について話していましたが、「自分の組織外の人と組む」という意味では「外注」という言葉も存在します。次第にトークの話題は「パートナーシップと外注の違い」へ。

 

天野さん:企業研修では、完全に外注として受けた研修も、パートナーシップでやっている研修もあります。

 

そこと何が違うかというと、2つあると思います。

 

1つは、パートナーとは共通のミッションを持っています。パートナーとは、最初にこの話をしています。

 

もう1つは、パートナーを組むというよりも「育む」という意識です。

 

「来年の研修はこんなことがしたいですね」という話から「マネージャーとの関係性」などの研修とは全く関係ない相談などもしながら、お互いが関係性を育んでいます。

「100点くださいね」に100点返すのが外注だとしたら、「すり合わせながら100点を目指していく」がパートナーだと思います。

 

最後に、ゲストお二人からパートナーシップについてのアドバイスをいただきました。

 

渡嘉敷さん:パートナーシップについて3つお伝えしたいことがあります。

 

1つ目に、1人でやっている方も団体をされている方もパートナーシップは必要ということ。

 

2つ目に、パートナーシップはあくまで手段であること。

 

3つ目は、自分で「こういうことをしたい、この人とやろう」と考えるだけでは、視野が狭くなるので、どういうところと組むといい?と、人にアドバイスを求めることも重要です。

 

天野さん:1つは、東海若手起業塾のメンターの佐藤真琴さんに言われた”他人の力を上手に借りるのも大事”ということです。

誰かとやることで、大きなことやできなかったことができるようになります。なんでも自分でやるのではなく、自分が手放す勇気も大切にしています。

 

もう1つは、本当にミッションが大事です。

パートナーシップでは、何を一緒に到達するのかというのがベースにあるべきだと思っています。そこが握れているか、どこにいるかという振り返りが、どんな事業においても大事なことです。そして、そのミッションを作っていく力は、東海若手起業塾で愛のあるみなさんに支援してもらえると思います!

 

福祉領域の渡嘉敷さん、中間支援の天野さん、どちらも共通しているのが「自分が何をしたいのか=ミッション」が出発点だということ。パートナーシップ、というとついつい関係性そのものや、組む相手に目が行きがちですが、そのベースとなる目的や世界観が何より重要だということが分かった90分でした。

 

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地域や社会に真に必要とされる起業家を育てる東海若手起業塾がでは「巻き込む力」を育むことを大切にしています。作りたい社会や地域の姿に向かって、東海若手起業塾のネットワークを活用しながらパートナーシップを育む起業家を応援しています。

毎年5月頃に塾生募集をおこなっていますので、ぜひチェックしてください。 (事務局 古井)