【イベントレポ】中から外から会社を変えていく。ものづくり会社&NPOの攻めの事業承継!

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5月27日にイベント「攻めの事業承継!ものづくり会社&NPOの後継のカタチ」を開催しました。

東海若手起業塾14期の募集説明会をかねて開催したこのイベントには、事業承継を実際にしている人や、その支援をしている方などが参加しました。

ゲストとして、株式会社野村紙器 営業部長であり、東海若手起業塾13期生の 野村菜月さん、そして特定非営利活動法人 子育て支援のNPOまめっこ 理事長で、東海若手起業塾11期生の 中井恵美 さんにお越しいただきました。

事業承継ならではの悩みや、攻めの事業承継のポイントなど、ものづくりと子育てNPO、という全く違う分野の2人から伺いました。

 

まずはお二人から、それぞれの事業と「事業承継」に至った経緯をお話ししていただきました。

 

中井さん:「まめっこは、『親も子も主人公』を合言葉に、0.1.2.3歳の子育て支援をしている、愛知県で一番古い子育て支援のNPOです。

法人としては今年21年目で、私は2018年に2代目理事長のを引き継ぎました。私は事務局として2014年に入りました。そこから毎年新しい事業を増やし、現在は4カ所の施設を運営しています。」

 

野村さん:「野村紙器は、創業115年目の、貼り箱を作っている会社です。貼り箱というのは、贈答用に使われるようなしっかりした丈夫な箱で、今でも手作業で作られていることが多いです。伝統のあるものですが、職人も減っていて難しい業界です。

私はお嫁入りしてこの会社に入って、経営に近いところで仕事をしています。最初は商品企画や販促をやっていましたが、2年ほど前から製作にも携わっています。」

 

|反対されても攻めの姿勢で!外から変えていく作戦とは

 

では、それぞれはじめはどのように”攻めの事業承継”へと踏み切っていったのでしょうか?

 

野村さん:「最初は私も貼り箱というものを知らなかったんですが、みんなが手で作っているのを見て衝撃を受けました。それと同時に、そんなに手をかけているなら、捨てられる箱ではなく、残してもらえる箱を作りたい!と思ったんです。

 

そこでまず、箱じゃない箱を作ろうと思い、オリジナルブランドを作って企画販売をしました。百貨店で販売したり海外のイベントに持っていたり。個人のオーダーメイドや、学生の提案から企画をしてみたり…と色んなことをやりました。

 

ただ、最初は社内では反対されました。私はすごく安い値段で作っているのをもったいないと感じていましたが、職人にとってはそれが当たり前。『そんな高くそれ売るの?』と言われたこともありました。」

 

100年以上続く会社ならではの難しさが伺えますが、実行力が乗り越えていったのが野村さんの強さ。

 

「会社の人たちと、最初は話し合って交渉していたんですが、これまで新しいことをしてないから、イメージができないんですよね。次第に、実際にやってみないと実感してもらえないし、それを積み重ねていくしかないんだ、と思うようになりました。そこで途中からは、販売することをもう決めてきて、『作らなきゃしょうがない』という状態にする作戦にしました。」

 

外から中を変えていくというタフな作戦。

 

一方、中井さんは、どのように”攻め”て行ったのでしょうか?

 

「一番最初は、雇用契約書を作るとか、就業規則を作るとか、基盤強化から始めました。事業としての変化は、2016年頃からです。

その頃、2003年に開設して有料での利用だった子育て支援施設「遊モア」が、誰もが無料で使える場所に変わりました。これによって、それまでは比較的裕福なご家庭の専業主婦の方が利用していた場所だったのが、多様な人が利用する場所になりました。

また、時代の潮目としても、育休を取ることが珍しくなくなり、働いているお母さんが増えてきました。

 

 

これによって「専業主婦の方が、子どもが幼稚園に入るまで3年間通う」という形から「共働きの家のお母さんが、育休中に通って、職場復帰してからは通わなくなる」という形になったんです。そうすると、職場復帰してから子育てにつまづいたときにフォローできる人がいないんですよね。

そういうのをなんとかしたい!と思って、私が理事長を引き継いでから、企業との関係づくりや取り組みに力を入れています。東海若手起業塾にもこの事業で応募をして、企業向けの研修を考えました。結果としてブラザーさんからお仕事をもらえるようになりました!育休から復帰する人向けに、今年はオンラインで研修を開催しました。」

 

中井さんの”攻め”の特徴の1つは、ここには書き切れないほど、親子の声を新たな事業にどんどん反映させていくこと。どのように実現させているんでしょうか?

 

「基本的に、新しい企画や事業の言い出しっぺは私です。全国の繋がりから様々な先進事例を知りながら、現場の声をスタッフから聞いて、現場感覚と課題を結びつけて、どうしたらいいかを考えています。知識と現場の感覚がズレていないかは、意識して聞くようにしていますね。」

 

トークセッションの後は、参加者からの質問へ。

エネルギッシュな2人のお話を受けて「息切れしませんか?エネルギー持続の鍵はなんですか?」との質問に、中井さんからは「息切れはしますね(笑)」との回答が。

「今年も新しい事業に手を出すんですが、これはタイミングをつかんでいくしかないというか、やらざるを得ない状況に追い込まれています(笑)

今年新しく取り組むものも、前の理事長が夢に描いていたことでもあって、でも条件が揃わなかった。だけど今年条件が揃っちゃって、あら、やれちゃうじゃん!という感じなんです。」

この言葉には野村さんも大きく頷き「日々そうですね(笑)」と返していました。

 

最後に、2人から攻めの事業承継のポイントを!

 

中井さん:「私は4年目で引き継いでいるんですが、これはNPOでも異例な短さなんですよね。よく引き継げたねと言われるけど、何も分からないうちだったからできたと思っています。

”攻める”のも、正解がわからず、大変さが想像できないうちに動いちゃうことが、チャレンジできる理由だと思います。じっくり考えると、できない理由は100個くらいああります。でも、不安がいっぱい出る前に、一歩踏み出してみることで、やらなきゃいけなくなっちゃう。これくらいがちょうどいいと思います。

 

野村:私は、できないことを人にお願いしたり、知ってる人に聞いてみるようにしています。素直に人を頼って助けてもらう、ということを積極的にしています。」

 

お二人の攻め方に共通して言えるのは、「これが求められている!こうしたい!」と社内外の人たちに伝えて、上手に頼りながら事業を進めていく姿勢。

参加者の方からは「周りからは色々反対意見もあるけれど、したたかに巻き込んでいく事が大切だと感じました!」との声が寄せられました。

 

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東海若手起業塾では、「起業家」だけでなく、お二人にように事業承継という形で事業を行っている方にも支援をおこなっています。毎年5月頃に塾生募集をおこなっていますので、ぜひチェックしてください。

(事務局 古井)