【イベントレポート】自分も社会も大事にする、ローカル起業の根の生やし方

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先日5月17日に東海若手起業塾15期募集説明会&トークイベント【第1弾】
「自分も社会も大事にする、ローカル起業の根の生やし方」を開催しました!

ゲストは東海若手起業塾3期生コンビでもある
一般社団法人リズカーレ 代表理事の安形真さんと郡上里山株式会社事業部長の興膳健太さんで、ローカルビジネスのリアルをお話いただきました。

まずはゲストのお2人から、事業紹介、そしてこの日のテーマである「自分も社会も大事にする、ローカル起業の根の生やし方」についてプレゼンしていただきました。

 

■ゲストプレゼン・安形さんより■

安形さんは愛知県新城市出身。Uターンし地元を盛り上げようと農業によるまちおこしで起業し、2018年に愛媛県に移住。現在は愛知県と愛媛県の2拠点でローカル起業家の支援をしています。
コンセプトは「人間らしさを源泉とした産業創造」。「人と人が繋がって有機的に関わり合いながら地域が持続可能になっていくような仕事を作っていけたら」と話します。

ローカルベンチャー事業は、 社会課題解決や未活用資源活用という目的に対して手段としてベンチャーマインドをもつ移住者を連れてきて、新たな産業創造やまちの活性化を達成する、という構図になっています。また起業家たちと地元の人たちとの交流拠点にもなるコワーキングスペースを運営しています。

■ゲストプレゼン・興膳さんより■

興膳さんは福岡県出身。学生時代に”郡上という地域に惚れて15年前に移住”し、自然体験インストラクターを経て、現在は猟師として林業をおこなったり、移住・起業支援をしたりしています。

「僕は『自分を大事にする』を声高に言いたい。社会課題を解決するために自分を犠牲にするのは違うと思う。自分が生きる上で立ちはだかる壁を解決していくことで結果として社会課題を解決しているみたいな状態が理想かな。」と話します。

その例として、興膳さんは自身の経験を振り返り「『自給自足的な生活がしたい』と思って野菜を育てていたら獣害に遭って困ったから、狩猟の世界に行きました。そうしたら山の恵みや自然の偉大さを感じて、造林・植林の植え手が少ないことを知り、じゃあ自分たちでやろうと郡上里山株式会社で造林事業を始めました。『友達ほしいな』と思ったから移住支援をしたり、商工会や消防団に入り地元の人たちと早い段階で仲良くなり、一緒になって面白い取り組みをやっています。

このように、自分のやりたいことからつながっていったこの矢印たちはまるで木の根っこのように、自分の興味や好きから徐々に世界が広がっていきます。田舎はいろんな人の間の調整が大変で、動きが鈍いところがありますが、複数の事業をしていると、今はここが停滞しているからこっちやっとこうかな、ということができます。一点突破ではなく、多角的なスタイルが田舎には合っているのかなと思います。」と語ってくれました。

プレゼンのあとは、本日のテーマについてのクロストークへ。

■クロストーク■

古井:一般的な「根を生やす」とは、専門的に一つのことをずっとやっていくことだと思われがちですけど、興膳さんは焦らずじわじわ多面的なやり方で根を生やしていったんですね。最初に移住したときからそう狙っていったんでしょうか?

 

興膳さん:結果的にかな。意識していたことは、常にニの手三の手を考えること。一つのソリューションでうまくいくことは少ないので、いつの間にか多面的になっていったね。
そうすると、なにをやっているのかよく分からなくなりがちなんだけど、実はローカルにおいて、何やっているかわからん人は、よくないんです。田舎の方はとくに肩書重視、何屋なのか、を重視する。だから自分は何をやっている人なのか、わかりやすく言うこと。最近は「木を植えています」と言っている。そうすると地元の人の理解・信用を得やすいです。

 

安形さん:「地域」というワードがあいまいになってきた気がするね。 僕は生まれ育った町から始まり、今は別の地域でやっていて、『ふるさとを捨てたのか?』と言われることがあるけど決してそうではないんです。ローカルで起業するということは、その地で人間関係を育むということ。他のまちで地域活動をしてみて、こういう生き方もいいなと思った。
『根を生ること』が目的なのではなく、その地域で社会の役に立ちながら、自分も楽しく生きていけたらそれでいいのではないかと。一見テーマと矛盾していそうだけど(笑)

あと移住者なりの根の生り方があると思います。僕は移住して1年間は新しいことを何にもやらないって決めていました。お祭りとか、商工会議所とか、積極的に顔を出しながら、地元の人が大切にしている活動に参加しました。

 

興膳さん:若い方へ伝えたいんだけど、僕の地域の信頼の得かたってやり方が古いかもしれなくて。とにかく自分は『郡上に骨を埋める覚悟でやってきました!』って公言していたんだけど、最近やってきた面白い子で、同じ質問された子が『墓くらいなら郡上にたててもいいっすよ~』って返していて、秀逸だな…!と思ったの。質問した地元の人も拍子抜けしていて。そんなライトな感じでも全然いいと思う。ただ「お前本気か?」と聞かれているだけなので、「本気ですよ」と伝えられればいい

なぜ本気を示したほうがいいかというと、ローカルは調整が大変だから、なるべく全員味方にするほうがいい。「敵を作らない=無難に当たり障りなく」ではなく「全員仲間にする=こちらから口説きに行く、巻き込みにいく」マインドでいったほうがいいです。手段のぶつかりは必ずあるけど、きっと目指すゴールは一緒。時々そこの確認をしながら、仲間になってもらえるよう努力します。

 

安形さん:僕も若いころは行政と時折ぶつかりながらやっていました。思いが強ければ強い人ほど、そうなりがちな気がしていて。社会軸で考えすぎると、自分が正義だ!と思い込んでしまってうまくいかないことが多いし、昔の自分もそうだったと思います。失敗談としては、仲間が離れていったりして。でもガチで信じてくれている人もいて、そういう人は防波堤になってくれたり、なにがあっても自分を応援してくれる人がいる。そういう人が自分のメンタルを支えてくれたなと思います。周りの人たちが教えてくれて、助けてくれたから、変われたかな。

―東海若手起業塾に入ってどう変わりましたか?-

安形さん:当時ー12年前は、スイカ育ててネット販売して、一発目成功したはいいけど、地域とどう関わっていいかわからなかった時期でした。
なんとなく社会にいいことをしたかったけど、東海若手起業塾で鼻っ柱を折られて。(笑)
自分がなにをしたいのか?とことん突きつけられました。
でもそこで自分と向き合って考え抜いたことが、今の自分の糧になっています

 

興膳さん:僕も当時は狩猟の事業を立ち上げたばかりで、どう稼ぐか考えて色々やったけど全然商業ベースにのらなくて暗中模索していた時期でした。
東海若手起業塾では、実直に事業をちゃんと積み上げていくことを学びました。営業にしてもリスト100件つくって、電話して反応あったところにサンプル送って…という、言われないとやらないようなめんどくさい作業も、お尻を叩いてもらえたからこそできたと思います。

―最後にテーマの振り返りと参加者へのメッセージ―

<興膳さんより>
自分のやりたいことを貫いて、結果として社会がよくなるーというのが理想だなと思っています。ローカルでやると、自分だけでやるんじゃなく周りの人に助けてもらったり大自然の恩恵を受けながらやっていくことが多いです。そういう助力に対して少しでも恩返ししていけるように事業をやっていくことが大事かなと思います。

そして東海若手起業塾はドМの集まりだと思っていて(笑) これを気持ちいいと思える人はぜひきてほしい。どこかに相談に行ったとしても、自分の事業のことを本気で考えてつっこんでくれる人ってなかなかいないじゃないですか。ここの人たちは愛のある殴りがとんでくるし、そういうドMの生態系がここにはある…(笑) OBOGも面白い人めちゃめちゃいるし!ぜひ一緒に、岐阜・東海地方を盛り上げていきましょうね!

 

<安形さんより>
起業って、ひとりひとりのものだと思うんです。 自分の人生をどこに使っているかという話なので、その人のものなんです。その中で本当の意味で地に足がつくのが、東海若手起業塾の魅力だと思います。今日ご参加の方はとても若いですね。20代~30代で確固たる自分の軸がわかると、これから先怖いものがなくなると思いますよ。

入塾していろんな人から頂いた言葉を胸に生きています。印象に残っているのが、「一年に一回くらい、自分のコンフォートゾーンから出ろ」って言われたんです。確かに、面倒くさいこと、腰が重いこと、やりたくないことって避けがちです。東海若手起業塾は自分を叩き直すっていう一番つらいところですが、人生の中でとても意義のある時間になると思います。
幸せな起業家ライフを送るためにも、ぜひエントリーをお待ちしております!

■東海若手起業塾ではただいま15期生のエントリー募集中です!■

「私たちにできる社会の変え方」を学びたい人のための塾、東海若手起業塾は、2022年度(15期生)塾生の募集中です。募集〆切は6月6日です!

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