4月10日に、東海若手起業塾12期の募集説明会を開催しました。
農業や古民家、コミュニティ運営をおこなう方など、様々な分野で事業をおこなう方が参加してくださいました。
愛知会場のゲストは、東海若手起業塾4期のOBで、株式会社yaotomi代表取締役犬飼亮さん。
名古屋市を拠点にオーガニック&自然栽培野菜の生産から販売流通までをおこなっています。
もともと名古屋の飲食系の会社の経理を担当していたという犬飼さん。
「一本のキュウリの味に感動した」ことをきっかけに、野菜や弁当の店頭販売を立ち上げましたが『弁当販売がやりたいことなのか?』ということも含めてブラッシュアップしたかった」という創業して2.3年目のタイミングで、東海若手起業塾にエントリーしました。
犬飼さんは、東海若手起業塾の支援期間についてこう振り返ります。
「メンターの川北さんに、厳しく『誰の、何のために、役立つ事業なのか、お前は何を解決したいんだ、それに対してどうアプローチできてるのか、というのがめっちゃ問われました。
例えば『30代OLが野菜を食べていないから野菜を届けたい』という仮定があったとしたら『本当に30代OLは野菜食べてないの?調べたの?』と問われて、それに対してのアプローチが甘いと『ちゃんと分かってるの?やる気あるの?』と。」
「その中でも僕の中でズシンと来たのが『野菜を作る人と食べる人の間にいるyaotomiは、生産者のために野菜を運んで食べてもらっているのか、消費者のために生産者から運んでいるのか、どっちのポジションニングでやりたいの?』という問いでした。
僕は「キュウリが美味しい!野菜がこんなに美味しいっていう事実を知らない人がこんなにいる!届ける価値がある!というだけで始めたので、生産者のためなのか消費者のためかなんて、当時の僕にはどっちでも良かったんです。
でも、どっちでも良いわけじゃないと気づかせてくれたのがこの問いでした。
東海若手起業塾の2日間の合宿(現在は研修)で、んんん〜ってずっと考えて『生産者のためだ』と思って計画を作って発表して、そのあとにまた『消費者のためだ』と思って右往左往して、参加中は答えが出ませんでした。」
東海若手起業塾の支援期間が終わってからも、この問いがずっと引っかかっていたのだそう。
「どちらのためなのかが中途半端だったので、当然売れないんです。
どっちなんだろうな〜ってずっと考えて、その答えが出たのが、参加して1年半経った時でした。
僕がやりたいことは美味しい野菜を届け続けることで、それは作る人がいて初めて成り立つんです。だから僕は生産者のためにやっています。」
犬飼さんは「このことをFacebookに投稿したら、初めて川北さんがいいねをくれました(笑)」と冗談を飛ばしながらも「生産者のために」という答えを出してから、大きな決断をします。
「生産者のためにやるなら、もっと野菜づくりを学ばないといけないし、畑にもいかないといけないと。
そうなると、やっていたお店が邪魔になってきたんです。お店を1ヶ月後に閉めて、その日から農家さんのところに毎日通いました。」
何年もやっていたお店を閉めるという、勇気を伴う大きな決断。
しかし、農家さんのところに通うに連れて、どうして野菜が美味しくなるのかが分かるようになってきたといいます。
「美味しい野菜を作るものさしが培われてきて、良い野菜が集まるようになりました。
良い野菜が集まり出すと、勝手に飲食店向けに口コミで広がって、1年後には借金も返すことができました。
振り返ってみて、自分の中で正しい選択をしたと思うのは、店を辞めたこと。それを導いたのは川北さんの『消費者のためか、生産者のためか』という問いですね。
その後化粧品の生産などの事業を始めてからも、東海若手起業塾で養われたぶれない軸と照らし合わせて、軸に沿っている事業なのかを問い続けているといいます。
最後には「消費者のためか、生産者のためか、どちらに行っても売り上げはきっと変わらないけれど、どういう方向にリードしていくかで変わっていくと思います」と締めくくった犬飼さん。
誰のためなのか、自分の軸は何なのか、外から問い続けられることで、事業が新たなフェーズへと成長していくきっかけになったようです。
東海若手起業塾では、犬飼さんのように、起業から数年たち「本当に今のままでいいのか?」「外からの視点をもらって、事業を見直したい」という方の参加も大歓迎です。
今後「静岡」「岐阜」「金沢」で説明会を開催する予定のほか、個別相談会を5月6日まで開催しています。
個別相談会はオンラインで行うため、遠方に住んでいらっしゃる方の参加も歓迎です!
説明会・相談会の詳細はこちらからご覧ください。