理性で考えられない社会で必要なのは「意図的な非合理体験」。「Business Socialize Camp for 2030」レポ

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8月10日に、ブラザーミュージアムでブラザー工業社員を対象に「Business Socialize Camp for 2030」を開催しました。

社会の変化とビジネスのイノベーションを体感することを目的に、東海若手起業塾のスピンオフ企画として、全3回に渡って開催しています。
第1回の研修はこちら:ソーシャルビジネスの、今とこれから。SDGsを知る「Business Socialize Camp for 2030」レポ
第2回の研修はこちら:ZOZOスーツからイノベーションを考える|Business Socialize Camp for 2030レポ
第3回のテーマは「イノベーションを共に生む」。
第1回・2回ではイノベーションの本質や、生まれるプロセスに焦点を当ててきましたが、今回は、起業家の特性や、東海若手起業塾のプロボノ活動に焦点を当てた会となりました。
ファシリテーターは、東海若手起業塾のシニアコーディネーターであり、ベンチャーやソーシャル問わず起業家育成に携わっている、イノベーションファクトリー代表取締役 中島康滋さんです。

|理性で考えられない時代の中で必要なのは「非合理で感覚的な自己基準」

科学技術の発達により、多くの物事が予測可能になってきた時代。
しかし東海地震をはじめとし、その多くは複雑に要素が絡み合っているため、ある程度の予測はできてもそれがいつ起きるのかまでは予測できません。
理性で考えられる世界ではなくなりつつあり、解を求めても出てこない、ということも起こりうります。
そんな社会の中で、中島さんは「感性を頼りにした、非合理で感覚的な自己基準が必要になってきています。絶対的な正解のない取り組みにおいては、自分の中に解を求める活動をすべきなのです。」と話します。

|自分の中の解を探る。原体験の旅へ。

自分の中に解を求める活動の一環としてこの日取り組んだのが「原体験の旅」ワーク。
自分の今までの「没頭体験」「感動体験」「苦悩体験」「憤怒体験」「共苦体験」をワークシートに、もくもくと書き出していきました。
「文化祭の演劇に熱中していた」という「没頭体験」や「親戚が病気で亡くなった時の変わり果てた姿への悲しみ」という「共苦体験」など、参加者の口からは次々に、今までの人生の中での印象的なエピソードが語られます。
中島さんは「深い感情体験は記憶に残り、その感性が意志を生み出していきます。松下幸之助も『感情』『意志』『知性』の『知情意』が人間力を高めると話しています。
そして心を動かして日々の感性を開発するためには、行動に移すことが必要です。聞いているだけでは、心は動かされません。」

|起業家の特性とは?

そんな感性を開発するための行動として有効な取り組みでもあるのが、東海若手起業塾のプロボノ活動。
プロボノ研修としての位置付けでもある「Business Socialize Camp for 2030」の最終回ということで、中島さんより起業家の特性についてのお話がありました。

「起業家の特性として、知覚動考というのが挙げられます。一般的な人は、知覚考動 、つまり物事を知って覚えて考えてから動きますが、起業家の場合は感性で判断しているため、考えるよりも前に動きます。」

「また金銭的報酬の優先順位が低く、原体験による意志が強いのも特徴です。『なんでそれを先にやっちゃうの?』と思うこともあるかもしれませんが、起業家とはそれでもリスクをとって可能性を信じている人たちなのです。」
知覚動考な起業家たちは、ビジネスでは排除されがちな非合理なビジネス環境に立ち向かいます。
東海若手起業塾のプロボノは、「非合理」なビジネス環境に企業の合理性/技術/手段をどのように用いて解決するのかを体感する「社会起業家、社会感性にふれ 意図的に作る非合理体験」と言えるのです。

|東海若手起業塾のプロボノという原体験から見る、非合理体験

では、東海若手起業塾のプロボノOBは、実際にどのような非合理体験をしてきたのでしょうか?
この日はOBの皆さんに、プロボノの経験を、トークセッション形式で振り返っていただきました。
昨年プロボノを経験した伊藤さんは、東海若手起業塾で出会った人たちについてこう話します。
「熱い人たちがたくさんいて、若い人たちと一緒にディスカッションできたことはすごくよかったです。
事業のスピードも、会社では得られない物事の動きの速さを体感することができて、展開のスピードに感動しました。」
また、2回プロボノを経験した御船さんは、社員と起業家の話し方の違いについて振り返ります。

「支援した起業家の方自身が、取り組んでいる社会問題の当事者の方でした。
彼女は言ってることの筋は通ってないけど、感情や意思を話すだけで人が勝手についてくるんです。
普段の仕事で社員を見てると、理性で話す賢い人は多いですが『筋は通ってないけど、この人のためになんかしなきゃ!』って思う人の支援をすることは大きな経験になりました。」

関わる人たちや事業スピード、その1つ1つが不合理で、驚きもあるようですが、意図的に飛び込んだ不合理の中で、社内では経験できない感動や学びを得ているようでした。

|東海若手起業塾、プロボノ活動がいよいよスタート!

9月から、東海若手起業塾の伴走支援が本格スタートします。
プロボノの活動も、本ホームページで紹介していく予定なので、ぜひチェックしてみてくださいね。