ZOZOスーツからイノベーションを考える|Business Socialize Camp for 2030レポ

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7月13日に、ブラザーミュージアムでブラザー工業社員を対象に「Business Socialize Camp for 2030」を開催しました。
 
社会の変化とビジネスのイノベーションを体感することを目的に、東海若手起業塾のスピンオフ企画として、全3回に渡って開催しています。
 
前回の研修はこちら:ソーシャルビジネスの、今とこれから。SDGsを知る「Business Socialize Camp for 2030」レポ
 

|イノベーションを生むためのキーは?

 
第2回のテーマは「イノベーションが生まれる時」
 
ファシリテーターは、東海若手起業塾のシニアコーディネーターであり、ベンチャーやソーシャル問わず起業家育成に携わっている、イノベーションファクトリー代表取締役 中島康滋さんです。
 
 
皆さんは「イノベーション」という言葉にどんなイメージを持っていますか?
 
中島曰く、イノベーションとは「発明や技術開発だと思ってしまう人が多いですが、実際はそのどちらでもなく、“モノ”ではなく”コト”なんです。」
 
では具体的に”コト”としてイノベーションが起こるまでにはどのようなプロセスがあるのでしょうか?
 
例えば、中島さんが現在理事を務める「NPO法人コモンビート」。”多様な価値観を認めあえる社会”を目指して、日本全国でミュージカルを開催しているNPO法人です。
 
「世界一周旅行をしていた時に、宗教戦争は”みんな自分が正しい!”と思っている正義の戦いだと気づきました。
 
この時の原体験を元に、多様な価値観を認めあえる社会を目指そうと、ミュージカルを通じた社会教育をしようと思って立ち上げたのがコモンビートです。」
 
中島さんが「芸術×社会×教育×イノベーション」と表すコモンビートのミュージカルの最大の特徴は、一般的なミュージカルの前提を覆すスタイル。
キャストは、年齢・国籍・性別を問わずに各地元で集められ、なんとその99%がミュージカルの未経験者で構成されています。
 
一般的な常識から考えると信じられないような方法ですが、中島さんが「常識を信じていると、始めようと思う人がいない」と話す通り、前提や常識を疑うことがイノベーションの重要なキーとなります。
 

|ZOZOスーツはどんなイノベーションを生むか

 
この日、実際にイノベーションを生むプロセスを体感する材料として登場したのが、人気沸騰中のZOZOスーツ(!)

特徴的な水玉模様も、大きなニュースになりましたね。

 

 

▲スーツを着たまま、少しずつ回転するとスマホで測定できる仕組み。初めての体験に、会場もザワザワ。

 
スマホで採寸すること自体は、特別な技術というわけではないのに関わらず、イノベーションが起こりそうなものとして認知されているZOZOスーツ。
 
このZOZOスーツという「モノ」はこれからどんな「コト」を生み出す可能性があるのでしょうか?
 
ここでは、ZOZOスーツを「人間」の「身体の寸法」を計測し「データ化した情報」から「服」を作るものと定義して、要素を分解。
他のビジネスへの利用の可能性や、医療や福祉・社会問題の解決への応用をグループワークで考えていきました。
 
 
各グループからは「顔のサイズを測って、メガネの通販をする」「睡眠状態を見て、無呼吸症候群などを発見する」などのアイディアがワークシートに書き込まれていきます。
 
また「名古屋駅前のナナちゃん人形をみんなで撮影して、素人でもななちゃん人形の服をデザインする」といったいかにも愛知県らしい発想もありました。
 

|不のソリューション、非のイノベーション

 
このZOZOスーツワークショップで取り組んだ「イノベーション」の考え方のポイントとなったのが「不のソリューション 非のイノベーション」という言葉。
 
つまり「不満」「不便」「不一致」といった不足に対する回答を指す「ソリューション」に対して、「非常識」「非営利」「非連続」といった、道理に合わないものが「イノベーション」なのです。
 
中島さんは「ビジネスのほとんどはソリューション。不満だから満足に変えるけど、それ以上のものを変えられないんです。

問題があると問題解決をしたくなるけど、それ以上のことをする、解答のない世界を作るというのがイノベーションです。」と語ります。

 

|東海若手起業塾の卒塾生と体感するイノベーション

 
東海若手起業塾のOB2人の事例をもとに、イノベーションの発想を体感していきます。
岐阜県飛騨市神岡町山之村地区で活動する、8期の前原融さんと、NPO法人静岡フューチャーセンター・サポートネットESUNEの、10期の天野浩史さんです。
 
前原さんは、起業塾在籍時は「山之村のわらび粉」をプレミアムな商品として販売することに取り組んでいましたが、それだけでなく現在は「地域の困りごとを解決するビジネス」にも取り組んでいます。

 

 

そこで前原さんが考えているのが、地域の細かな仕事を情報共有し、体験プログラム化するというもの。

前原さんが考えた、地域の困りごと解決の仮想依頼人のデータをもとに、どのようなビジネスが考えられるか、グループでイノベーション思考を体験していきます。
 
 
各グループでのブレーンストーミングでは「在宅勤務の遠隔版としてツアーを組む」「ふるさと納税で知ってもらう」「地域通貨を作って、報酬にすれば、その人がまた通貨を使うために来てくれるのではないか」などのアイディアが出ました。
 
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イノベーションという言葉の意味や、その誕生のプロセスを体感できた「Business Socialize Camp for 2030」2日目。
 
参加者からも「”非”は道理に合わないもので、イノベーションには必要」「中島さんの世界一周旅行を機に色んな分野へ参入して入った経験から、やはり原体験が大事だと考えさせられました。」などの感想が寄せられました。
 
(@事務局 古井)