3月25日(土)に「東海若手起業塾第9期最終報告会」を開催し、起業塾で半年間のチャレンジに挑んだ3名の起業家による報告会を開催しました。当日は、一般参加者が34名、関係者が25名と、大変多くのみなさまにご参加いただきました。
9期生の報告に先立って、IIHOEの川北秀人さんに「なぜ、今、東海若手起業塾?」と題した基調講演を行っていただきました。課題先進国の日本だからこそ、社会を変えるさまざまな「しかけ」が必要。川北さんには、東海地方が待つ未来の姿や、そこから想定される社会の課題を俯瞰的に考えることについて語っていただきました。
参加者の多くが印象的だったと語っていた、トヨタ自動車が実施している「トヨタ環境チャレンジ2050」の紹介。今から30年後の社会を想定し、その時に「何を」売っている会社なのか、そのためにはどんな組織である必要があるのか。未来を具体的に捉え、行動している例としてご紹介いただきました。
福祉施設等のBCM体制の構築に取り組むそなえざぁしぞ〜か代表の渡嘉敷さんは、地域の「震災関連死を防ぐ」ための方法をこの半年間考え続けました。さまざまなヒアリングや調査を通じて見えてきた状況は、特に医療・介護的支援を必要としている人たちにとって、被災時でなくても日常的に不足している支援があること。地域に日常的な支援体制を構築しながら、震災への備えを進めていくことを渡嘉敷さんは選択しました。
それに対して、メンターからのアドバイスは三人三色、最後まで厳しく、愛のある内容でした。「目指すべき社会の姿は?」「もっと効果的に出来る方法があるのでは?」「内容がぶれていないか?」…良い意味での、起業塾ならではの「おせっかい」な支援が垣間見える瞬間でした。
きゃりこみゅ代表の井上さんは、定時制高校生に向けたキャリア教育に関する事業プランを発表しました。定時制高校では、生徒の4人に1人が進路が決まらないまま学校を卒業します。早い段階で生徒と地域をつなぎ、さまざまなことを経験し、能力アップする機会をつくる取り組みを事業として実施します。起業塾では、ミッションやビジョンの明確化、事業モデルの作成やプレゼンのブラッシュアップなどに取り組みました。
CLAFAの安本さんは、発達障がいの子どもを持つ親へのアプローチについて発表しました。もともと子ども向けのサービスを展開していた安本さんですが、80名近い当事者や支援者に対してヒアリングを行った結果、親への支援やアプローチの必要性を発見。プレゼンでは、その経緯や方法を発表しました。
その後は、「フロアディスカッション」と題して参加者同士が感想などを話し合いました。
起業塾は今年で10年目を迎えます。10年前と状況が違うのは、社会的事業を行う起業家のロールモデルがこの地域に多く育っていること。そして、彼らのもたらす価値や、彼らのような起業家を育てることの重要さを、行政を含む多くの人々が気づいていることです。この日も、一般参加者として行政職員や金融機関職員、投資家、企業役職員などさまざまな立場の方々にご参加いただきました。
さらにもう1つ。ブラザー工業の社員の中にも、起業家と共に事業に取り組むことの重要性や意義を感じている方が大勢いることです。実はこの時点で、第10期のプロボノ希望者が定員超過していました。年々、起業塾への期待が高まっていることを感じます。
第10期は近々、募集開始となります。今年度の起業塾にも、ご期待ください!
(事務局 小池)